部屋の有線LANの配線を見えにくいように隠蔽配線する方法やおすすめのケーブル
2019/08/22
本エントリーの目次
LANケーブルの配線を見えにくくしたい!隠蔽したい!
自宅やオフィスでインターネットを利用したり、ローカルネットワークを構築する場合、LANケーブルを使って機材同士を結線するのが一般的です。
ところがLANケーブルは、ケーブル部の色のバリエーションが乏しく、部屋や家具のテイストに合った色を選べないことがほとんど。
またケーブル自体が太いこともあり、部屋の中で目立ってしまうことが多いです。
そこで今回は、LANケーブルを目立たないように配線したい!
と考えている方向けに、隠蔽配線※する方法やおすすめのケーブルをご紹介します!
※線を隠して目立たないように配線することを、隠蔽配線と言います。
無線LANの使用が許容される場合は、なるべく無線LANを使う!
有線LANの隠蔽配線についての話であるにも関わらず、いきなり無線LANの話?と思われるかもしれません。
ですがまずは、無線LANの使用(有線LANとの併用)についてご紹介させてください。
LANケーブルを使って機材同士を結線するのは、インターネットの利用やローカルネットワークの構築の実現に、有線LANの技術を使用するからです。
今回は、LANケーブルを目立たないように配線する方法をご紹介しているので、当然有線LAN技術の使用を前提としています。
しかしもし、インターネットの利用やローカルネットワークの構築という目的を、無線LANで実現できる。
また無線LANの使用が許容される場合は、可能なかぎり無線LANの使用をおすすめします。
これはなぜかというと、無線技術を使用した通信方法である無線LANでは、機材同士をLANケーブルで接続する必要がありません。
したがってLANケーブルの配線をかなり少なくでき、隠蔽配線を行う箇所を減らすことができるからです。※1
こういった事情から、LANケーブルを目立たないように配線したいということであれば、可能なかぎり無線LANによる無線接続を行う。
そして有線LANによる配線が必要な箇所にのみ、LANケーブルを使った配線・通信を行うのがおすすめです。
ただし無線LANは、無線通信技術を利用するという特性上、以下のような弱点を持っています。
- 周辺の電波状況や機材同士の置き場所などに大きな影響を受け、安定的な通信ができない場合がある。
- 複数の機材が同時に通信を行った際の処理性能が低い場合がある。
- 通信速度が遅いことが多い。※2
- 暗号化やIEEE802.1X認証の利用など、適切なセキュリティー設定を行わないと、セキュリティー上のリスクが生じやすい。※3
そのため、特にオフィスでの無線LANの導入・使用については、慎重な検討が必要です。
参考:Wi-Fi(無線LAN)の電波が弱い・届かない・速度が遅い場合の対策
※1 無線LAN技術を使用する場合でも、一部にLANケーブルによる有線配線が必要となることが多く、LANケーブルの使用数がゼロになることはほとんどありません。
※2 本エントリー執筆時点の最新の無線LAN規格であるIEEE 802.11ac Wave 2に対応している製品であれば、最大1.7Gbit/sという高速通信が可能です。これを利用し、かつ理想的な通信状態であれば、現在一般的な1Gbpsの有線LANを使用した場合と同等程度の速度で通信可能であることが多いです。
※3 有線LANのみで構築された閉鎖ネットワークでは、物理的にLANケーブルをL2スイッチ(スイッチングハブ)などに接続できなければ、LAN内にアクセスできませんが、無線LANを併用している環境では無線LANの認証に成功すれば、LANケーブルの接続をせずにLAN内にアクセス可能となります。
有線LANしか搭載されていないPCに、無線LAN機能を追加する方法
配線を目立たなくするために、可能なかぎり無線LANを!
と言われても、今使っているPCは有線LANしか搭載されていないんだけど…という場合には、以下のような製品を使うことで、無線LANの機能を追加することができます。
PCケースに内蔵するパーツ + 外部アンテナにより、高速無線通信を可能とする製品の例:
USBポートに接続するタイプの製品の例:
PCケースに内蔵するパーツ + 外部アンテナのタイプの製品に比べ、USBポートに接続するタイプの製品であれば接続が簡単なので、おすすめです。
有線LANに使用するLANケーブルを目立ちにくく、隠蔽配線する方法
さて、ここからは本題である、有線LANの構築に使用するLANケーブルを目立ちにくく、隠蔽配線する方法について解説していきましょう!
まずはLANケーブルの隠蔽配線をする上で要となる、おすすめのケーブルについて。
LANケーブルを目立ちにくく配線したいときは、フラットケーブルを使う!
現在一般的に使用されているLANケーブルでは、以下のようにケーブルが丸く太い製品が多いです。
このタイプのLANケーブルは直径が7mm前後の製品が多く、性能が上がる※につれ、かたく、そして太くなる傾向があります。
そのため太いケーブル部自体が目立ってしまったり、かたいことから配線がしにくく、うまく隠せないのです。
※LANケーブルにはCAT(カテゴリー)という規格があり、CAT5eやCAT6というように表現され、数字が大きいほど高性能なLANケーブル、という理解で大丈夫です。現在主流の1GbpsのLANを構築する場合は、CAT5eやCAT6のLANケーブルを購入・使用すればOKです。
こういった問題点を解消でき、部屋の中にLANケーブルを配線する際におすすめしたいのが、以下製品のようなフラット(薄型)タイプのLANケーブルです。
画像を見ていただくと分かるとおり、フラットタイプのLANケーブルのコネクター部(RJ45コネクター)は、普通のLANケーブルとまったく同じ。
そして大きく異なるのは、ケーブルの太さと柔らかさです。
フラットタイプのLANケーブルは厚みがとても薄く、1~2mm程度の厚さしかありません。
またケーブル部がとても柔らかいため、以下画像のように小さく丸めることが可能です。
通常のLANケーブルの代わりに、フラットケーブル(フラットタイプのLANケーブル)を使用することで、その薄さ・柔らかさを利用して隠蔽配線をしやすくなることから、部屋の中にLANケーブルを目立たないように隠蔽配線をする際は、フラットケーブルの使用をおすすめします!
非光沢のフラットケーブルが特におすすめ!
フラットケーブルには非光沢タイプのケーブルの製品と、光沢タイプのケーブルを採用した製品が存在します。
先ほどもお見せした下記画像のLANケーブルは、非光沢タイプのフラットケーブルのため、ツヤがありません。
対して以下画像中の製品のように、ケーブル部にツヤがある光沢タイプのフラットケーブルも販売されているのです。
配線を目立ちにくくするという観点からは、個人的には非光沢タイプのフラットケーブルをおすすめしたいです。
光沢タイプの製品は、蛍光灯などの光の当たり具合によりツヤ光りが起き、これが目立ってしまい気になることがあります。
LANケーブルを目立ちにくく、隠蔽配線する方法
LANケーブルを目立ちにくく、隠蔽配線する場合は、以下のような方法を利用すると良いでしょう。
LANケーブルを家具の裏に隠す
部屋の中にはタンスやカラーボックスなど、大型の家具がいくつか置かれていることが多いですよね。
そういった家具類の上や前ではなく、背面にLANケーブルを通すことで、ケーブルを隠すことができます。
このような配線を行うと、LANケーブルの取り出し・回収が困難となるのが心配だ…。
という方もいらっしゃるかもしれません。
ですがLANケーブルは一度設置・敷設してしまえば、頻繁に撤去・再設置・移動するようなものではありません。
設置後に移動するのは、大規模な模様替えを行うときか、ケーブルをより高速な後継規格の製品に交換するときくらいでしょう。
だからLANケーブルの取り出しや回収がしにくくても、困ることはほとんどないのです。
ラグやカーペットの下に隠す
先にも書いたとおり、フラットケーブルは厚みが1~2mmほど。
そのためフローリングの上に敷いたラグやカーペット類の下に配線(フローリングとラグの間に配線)することで、ケーブル自体をスマートに隠蔽可能です。
ただしフラットケーブルは強度が低いため、ラグの上からケーブルを何度も踏みつけたり、重い家具類を置いてはいけません。
ラグ類の下に隠す場合は、人が踏んだり重みがかからない端の方に配線するなど、配線の位置を考慮するようにしてください。
尚、台車のキャスターなどが頻繁に往来・通過するような場所のカーペットの下に、フラットタイプのLANケーブルを敷設したいときは、以下製品のようなプロテクター付きのフラットケーブルを利用すると良いでしょう。
机の脚に結束バンドで固定する
机の上に置いているPCに対してLANケーブルを配線するときは、床から机の上までLANケーブルの配線が必要です。
こういった場合は、結束バンドやマジックテープタイプの結束バンドを使えば、机の後ろ側の脚にLANケーブルを見えないように固定できます。
結束バンド製品の例:
マジックテープ(面ファスナー)タイプの結束バンド製品の例:
机の脚と、同系統の色の結束バンドを使った方が目立ちにくいため、なるべく似た色のバンドの使用をおすすめします。
PoE(Power over Ethernet)を使用する
無線LANアクセスポイントやWebカメラなどの一部の製品では、PoE(Power over Ethernet)に対応しています。
PoEとは、LANケーブルを使って電気を接続先の機材に供給し、その機材とのイーサネット通信を可能とする技術。
そのためPoE対応製品を使用すれば、機器に電源ケーブルの接続が不要となるため、配線の数を減らすことができます。
LANケーブルの配線を減らせるわけではありませんが、隠蔽配線をする上ではPoEの導入も効果が見込めます。
PoEについての詳細は、LANケーブルで機材に電源を供給できるPoE機能はとっても便利!をご覧ください。
モールやケーブル固定器具を使用して隠す
LANケーブルを隠すための家具やラグ類がない場所については、市販のモール製品などを使うことで、配線を目立たないように隠すことができます。
壁紙が白系の場合は、白のモール製品を使用して天井までLANケーブルを持ち上げて、天井にLANケーブルを配線するなどの方法も考えられます。
ケーブルモールを使ったLANケーブルやスピーカーケーブルの隠蔽配線については、別途以下ページでくわしく書いています。
興味がある方は、ぜひ併せてご覧ください!
ケーブルモールを使ってLANケーブルやスピーカーケーブルを隠蔽配線する方法
また、モールの設置はちょっと面倒…。
ということであれば、ケーブル結束クリップを使って配線が部屋の端の方を通るようにするだけでも、目立ちにくくする効果を期待できます。
長いLANケーブルを使用する
LANケーブルが目立たないように、部屋の端の方を迂回するようなルートで配線をしようとすると、LANケーブルの長さが足りなくなることがあります。
現在では10mなど、長いフラットケーブルであっても800~1,200円前後で購入可能です。
そのためLANケーブルが届かない場合は、長いLANケーブルを別途購入して配線を行ってください。
また、延長コネクターを使って延長したり、L2スイッチ(スイッチングハブ)を使って延長・分岐することも可能です。
延長コネクター製品の例:
L2スイッチ(スイッチングハブ)製品の例:
LANケーブルの延長や分岐については、それぞれ以下でくわしく書いているため、興味がある方は併せて参考になさってください。
LANケーブルは延長コネクタ(アダプター)やスイッチングハブで延長可能!
LANケーブルを分岐(分配)させる方法 ネットワーク(LAN)はハブで分岐可能!
なるべく適切な長さのケーブルを使用する
つい先ほど、長いLANケーブルを使用するという内容を書きましたよね。
これは長いLANケーブルを使用することで、部屋の端の方を通るルートでの配線を実現。
その結果、配線を目立たないようにできるから、というものです。
ですが目立たないようなルートでの配線ができるのであれば、可能なかぎり適切な長さ。
つまりなるべくピッタリの長さのLANケーブルの使用をおすすめします。
LANケーブルが長すぎると余ってしまいますが、これをうまく隠すのが難しいことが多く目立ちやすい。
というのが、その理由です。
余ったケーブルはケーブルボックスに入れて隠す
配線の際に長さが余ってしまったLANケーブルや、その他電源ケーブルなどはケーブルボックスに入れておくことで、キレイに隠すことができます。
ケーブルボックス製品の例:
参考:ごちゃごちゃしたケーブル類をキレイにまとめて収納するには、結束バンドやケーブルボックスがおすすめ!
ケーブルの余り部が多く困っている場合には、こういった製品の利用を検討してみてはどうでしょうか。
以上を参考に、LANケーブルが目立ちにくいように配線を行ってみてくださーい!